エアライン, ボーイング, 機体 — 2021年4月16日 09:11 JST

777-300ER改修貨物機、開発の中間段階に GECASとIAI「ビッグツイン」

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 GE(ゼネラル・エレクトリック)のグループ会社で航空機リースと金融を扱うGECAS(GEキャピタル・アビエーション)とIAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)は、大型旅客機ボーイング777-300ER型機を貨物機に転用する777-300ERSF「ビッグツイン(Big Twin)」プログラムの中間報告を現地時間4月13日に発表した。計画段階から機体を改修する段階に入ったといい、航空当局が改修後の機体の安全性などを証明するSTC(追加型式設計承認)の取得を目指す。

GECASとIAIが進めている777-300ERの貨物機改修777-300ERSFのプロトタイプ(GECAS提供)

 777-300ERSFの「SF」は「スペシャル・フレイター」の略で、777の新造貨物機で777-200LRをベースとする777Fと同様、機体左側後方に貨物ドアを新設する。旅客機の777-300ERでは床下貨物室で運べる貨物は約30トン弱だが、777-300ERSFは約100トンを世界各国へ運べるようになるという。

 すでに設計は完了しており、プロトタイプとして改修する777-300ER(MSN:32789)は当初予定よりも半年早く、2020年6月にGECASからテルアビブにあるIAIの施設に納入された。引き渡し後はテルアビブと米国を行き来しながら、地上試験や飛行試験を実施してきたといい、6月末からテルアビブで改修作業が始まる見通し。

 改修作業では貨物ドアを新設するほか、胴体や床の補強、乗務員区画の変更などが必要となり、STCを取得するためには当局の厳しい審査をパスする必要がある。ローンチオペレーターは、貨物機運航を手掛ける米国のカリッタ航空(CKS/K4)で、同社では航空貨物業界のニーズを今後20年間満たせるとみている。

 改修のベースとなる777-300ERは「ジャンボ」の愛称で親しまれた747のうち、1990年代から活躍した747-400の後継機で、エンジンはGE製GE90-115Bが2基。日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)もジャンボの後継として777-300ERを導入し、世界各国の大手も多数運航しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国際線旅客需要の大幅な減少に伴い、ANAのように経年機の早期退役を決める社も出ている。

GECASとIAIが進めている777-300ERの貨物機改修777-300ERSFのプロトタイプ(GECAS提供)

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