全日本空輸(ANA/NH)は7月9日、ボーイング787型機が使用するエンジンの整備作業の影響による欠航について、7月13日から22日までの10日間に、国内線176便を欠航すると発表した。約3万6000人に影響が出る見通し。
—記事の概要—
・3連休68便欠航
・EASAの改善命令で整備
3連休68便欠航
欠航の対象となるのは、羽田発着の伊丹と関西、札幌、福岡、小松、岡山、広島、松山、大分、熊本、宮崎の計11路線。このうち、期間中の欠航が最も多いのが福岡線の52便で、伊丹線の46便、広島線の28便と続いている。
日付別では、3連休中の中日となる15日が26便で最も多く、16日の22便、22日の21便と続く。3連休初日となる14日は、20便を欠航。連休中は68便が欠航となる。
多客期となる8月を含め、7月23日以降も欠航が出る見通し。23日から31日までの欠航便は、12日に公表する。繁忙期となる8月分は、7月17日に公表する。
EASAの改善命令で整備
整備対象となるのは、ANAの787が使用しているロールス・ロイス(RR)製エンジン「トレント1000」。今年4月に、FAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)がRRに対し、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を出した。日本の国土交通省航空局(JCAB)もこれに基づき、耐空性改善通報(TCD)を発行。ANAも、対象となるエンジンの整備を進めてきた。
EASAのADによると、エンジン内にある中圧コンプレッサー(IPC)のローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるという。
ANAによると、4月の段階では、主に国際線を飛ぶ787-9が搭載している「パッケージC」と呼ばれるエンジン66基が対象だったが、EASAが6月12日にADを追加発行。改修対象のエンジンが、主に787-8が使用している「パッケージB」にも広がり136基に増えたことで、国内線の機材繰りに影響が及んでいる。
国内でトレント1000を選定した航空会社は、ANAのみ。日本航空(JAL/JL、9201)はGE製GEnx-1Bを選定しており、対象外となる。
関連リンク
【お詫び】ANA国内線の欠航・遅延について [3](全日本空輸)
Rolls-Royce [4]
ロールス・ロイス [5]
Boeing [6]
ボーイング・ジャパン [7]
European Aviation Safety Agency [8]
国土交通省 [9]
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