MRJ, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2018年7月6日 07:33 JST

ボーイングとエンブラエル、民間機の合弁会社設立へ MRJさらなる苦戦も

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 ボーイングとエンブラエルは現地時間7月5日、航空宇宙分野での戦略的提携を確立するための覚書(MoU)に署名したと発表した。覚書には、エンブラエルの民間機事業を母体とする合弁会社の設立も含まれており、2019年末までに発足させる。

—記事の概要—
ボーイングが8割出資
エアバスはボンバルディアと

ボーイングが8割出資

シンガポール航空ショーに展示されたE190-E2飛行試験機=18年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の暫定合意では、エンブラエルの民間機事業で時価総額47億5000万ドル(約5257億円)と評価。合弁会社の持ち株比率はボーイングが80%、エンブラエルが20%で、今後数カ月で最終合意に達する見通し。

 エンブラエルは、地域間路線を中心に投入する「リージョナルジェット機」の世界最大手。合弁会社の本社は引き続きブラジルに置き、民間機の設計や製造、サポートをボーイングのサプライチェーンに組み込んで展開していく。

 ボーイングとエンブラエルは、20年以上にわたり提携関係にある。合弁会社が発足すると、ボーイングはエンブラエルの次世代リージョナルジェット機「E2シリーズ」など70席クラスの機体から450席クラスの747-8までの旅客機と、777Fなどの貨物機を加えた民間機市場全体をカバーできるようになる。また、エンブラエルの空中給油・輸送機KC-390についても、合弁会社の設立を予定している。

パリ航空ショーでフライトディスプレーを披露したE195-E2=17年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エンブラエルは、次世代リージョナルジェット機「E2シリーズ」を開発。現行のエンブラエル170(E170)とE175、E190、E195で構成する「Eジェット」の後継機で、E175-E2とE190-E2、E195-E2の3機種で構成する。

 座席数は、今年4月から納入を始めたE190-E2が1クラス106席、2クラス97席。2019年前半から顧客への引き渡しを計画しているE195-E2が1クラス146席、2クラス120席、2020年に引き渡しを始めるE175-E2は1クラス88席、2クラス80席となる。

 E2のエンジンは、三菱航空機が開発を進めているリージョナルジェット機「MRJ」と同じく、低燃費と低騒音を特徴とする米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製GTFエンジンを採用。E175-E2は、1クラス92席の「MRJ90」と競合する。一方、エンブラエルには1クラス78席の「MRJ70」にあたる次世代機が存在しない。

 三菱航空機は2011年6月に、ボーイングとカスタマーサポートに関する支援契約を締結している。しかし、今回の合弁会社設立で、エンブラエル機がボーイングのラインナップに取り込まれることから、販売面でこれまで以上に苦戦する可能性がある。

エアバスはボンバルディアと

エアバスが事業会社を買収したCシリーズ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、ボーイングと民間機市場を二分するエアバスは、カナダのボンバルディアと関係を深めている。ボンバルディアが開発した小型旅客機「Cシリーズ」の事業会社「CSALP」を、今年7月に買収。エアバスのアラバマ工場でも、Cシリーズを製造していく。

 CシリーズはCS100(108-135席)とCS300(130-160席)の2機種で構成。2機種の部品は99%共通化しており、パイロットは同じライセンスで操縦できる。Cシリーズは、E2シリーズと比べて機体サイズがやや大きいが、座席数で比較すると、3機種の中でもっとも胴体が長いE195-E2が同程度となる。

 今回のボーイングとエンブラエルの提携で、民間機市場はボーイングとエアバスの2強体制がこれまで以上に強固なものになった。

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