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シンガポール航空、関空で787-10日本初公開 就航50周年、5月に世界初定期便

 シンガポール航空(SIA/SQ)は4月4日、関西空港でボーイング787-10型機を日本初公開した。世界初の定期便は、同社の日本就航50周年を記念してシンガポール-関西線が選ばれ、5月3日に就航する。

*ビジネスクラスの写真特集はこちら [1]
*エコノミークラス編はこちら [2]

関空に到着したシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
新シートと新IFE採用
提供座席数と貨物18%増

新シートと新IFE採用

 787-10は、787ファミリーで3機種目となる超長胴型。長胴型である787-9の胴体を5.5メートル延長したもので、全長は787最長の68メートルとなり、設計と部品は787-9と95%共通している。最終組立は、米サウスカロライナ州のチャールストン工場で行われている。

 シンガポール航空は、787-10を運航する世界初の航空会社で、確定発注は最多の49機。座席数は2クラス337席で、ビジネスクラス36席、エコノミークラス301席となり、観光需要が多い中距離路線を中心に投入する。エンジンは、ロールス・ロイス製トレント1000の改良型「トレント1000 TEN」を採用した。

中央席はツインのベッドのようになる関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 シートは、シンガポール-関西線などアジア域内路線用に新開発したもの。ビジネスクラスは、1-2-1席のスタッガード配列のステリア・エアロスペース製フルフラットシートを採用。既存の2-2-2席配列と異なり、全席が通路に面している。

 長さは193センチ(76インチ)、幅は66センチ(26インチ)で、個人用画面は18インチのタッチパネルモニター。中央席は可動式のパーティションがあり、カップルや友人であれば開放、隣席が他人であれば閉めることができる。電源コンセントや充電用USB端子を完備する。

 エコノミークラスはレカロ製で、3-3-3席配列で6段階に調整可能なヘッドレストを備える。個人用画面は11.6インチのタッチパネルモニターを採用した。従来あったフットレストは利用率が低いことからなくし、手荷物をしまいやすくするとともに、足もとを広くした。

 機内エンターテインメント(IFE)「クリスワールド」も新世代のものを採用。米パナソニック・アビオニクス製「eX3」を搭載する。シンガポール航空のマイレージサービス「クリスフライヤー」の会員であれば、往路で途中まで観た映画を、復路で続きを観ることもできる。

提供座席数と貨物18%増

787-10を関空で日本初公開した意味を説明するシンガポール航空のデイヴィッド・ラウ日本支社長=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 シンガポール-関西線は現在1日2往復で、どちらもエアバスA330-300型機(2クラス285席:ビジネス30席、エコノミー255席)で運航しており、787-10の導入により1便あたり52席増える。関空を夜に発着するSQ622/623便も、年度内の下期をめどに787-10に変更する。年内には、成田を軸に東京、中部、福岡の各路線への導入も予定している。

 シンガポール航空のデイヴィッド・ラウ日本支社長は、787-10初の定期便がシンガポール-関西線となることについて、「今年は日本就航50周年で、就航するすべての日本の都市に787を投入する計画だ。日本に対する投資としては膨大な額で、さらなる訪日客誘致と、関西から海外へ旅に出ていただきたいという気持ちの表われだ」と説明した。

 ラウ支社長によると、旺盛な訪日需要と関西発の需要から、現在のA330では座席供給量が課題になっていたという。「787とA330を比べると、18%座席数が増えるだけではなく、貨物の搭載量も18%増える」と、導入効果にふれた。

 787-10就航を記念し、機内食は期間限定メニューを用意する、

 シンガポール航空グループでは、LCCのスクート(SCO/TZ)が787-8と787-9を運航しており、787-10の就航で世界で初めて787ファミリー全3機種を運航することになる。

 4日の公開は、787-10の2号機(登録番号9V-SCB)を最終組立工場があるチャールストンからシンガポールのチャンギ国際空港へフェリーフライト(回航)する途中で実施。便名は初号機のフェリー時と同じSQ8878便で、関空には午後0時3分ごろ到着した。報道関係者などへ公開後は、午後2時23分ごろ関空を出発し、最終目的地のシンガポールへ向かった。

787-10運航便のスケジュール(5月3日から)
SQ618 シンガポール(01:25)→関西(09:05)
SQ619 関西(10:55)→シンガポール(16:40)

関空に到着するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空に到着するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空に到着したシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空に到着したシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シンガポール航空の787-10の2号機のフェリーフライト便名を表示する関空39番搭乗口の案内=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で787-10のビジネスクラス新シートを披露するシンガポール航空の客室乗務員=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

日本語画面を充実させたシンガポール航空787-10のビジネスクラスの機内エンターテインメント=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラスで提供する洋食メニュー=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のビジネスクラスで提供する和食メニュー=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開された787-10のエコノミークラスで和食の機内食を手にするシンガポール航空の客室乗務員=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

足もとがすっきりしたシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で日本初公開されたシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルに13インチのMacBook Proを置いたシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

テーブルを広げて手前に引き背もたれを倒したシンガポール航空の787-10のエコノミークラス新シート=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で出発を待つシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で出発を待つシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空で出発を待つシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空を出発するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空を出発するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空を離陸するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空を離陸するシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空を離陸しシンガポールへ向かうシンガポール航空の787-10の2号機=18年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
シンガポール航空 [3]
Boeing [4]
ボーイング・ジャパン [5]

写真特集・シンガポール航空787-10 日本初公開
ビジネスクラス編 隣り合うベッドになる中央席 [1](18年4月10日)
エコノミークラス編 フットレスト廃止で足もと広々 [2](18年4月14日)

シンガポール航空の787-10
世界初の787-10、関空経由で到着 写真特集・シンガポール航空787-10 [6](18年4月4日)
シンガポール航空、787-10公開 新シート採用、5月に関空就航 [7](18年3月28日)
シンガポール航空の787-10、関空へ世界初の着陸 5月就航 [8](18年3月28日)
ボーイング、787-10をシンガポール航空へ初納入 関空へ5月就航 [9](18年3月26日)
シンガポール航空の787-10、5月3日に関空初便 [10](18年2月1日)
シンガポール航空、777Xを正式発注 787-10も合わせ39機 [11](17年10月24日)