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「諦めて逃げるか、失敗を成功に変えるか」トニー・フェルナンデスCEOに聞くエアアジア日本再挑戦

 中部空港(セントレア)を拠点とするエアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)が10月29日、1路線目の中部-札幌線を約2年遅れで就航させた。当初は2015年秋までに複数路線を同時開設する計画だったが、当面は1路線を2機のエアバスA320型機(180席)で1日2往復する単純運航に徹する。

 エアアジアは、ANAホールディングス(9202)と合弁で立ち上げた旧エアアジア・ジャパン時代にも、中部空港(セントレア)へ乗り入れていた。旧エアアジア・ジャパンは、2012年8月1日に成田空港を拠点に運航開始後、2013年4月1日に中部へ就航した。福岡線を1日最大2往復、札幌線とソウル(仁川)線を1日1往復ずつ運航していたが、同年10月26日の運航終了に先立つ8月末で中部から撤退。旧エアアジア・ジャパン撤退から数えると、4年2カ月ぶりの中部再就航となった。

 また、エアアジアで中距離国際線を担うエアアジアX(XAX/D7)も、2014年3月17日にクアラルンプール-中部線を開設したものの、就航から1年足らずの2015年2月に運休している。

日本市場を重視する理由を語るエアアジア・グループのトニー・フェルナンデスCEO=17年10月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2014年7月1日に、楽天(4755)などと共に日本市場へ再参入すると発表したエアアジア。来日したグループCEO(最高経営責任者)のトニー・フェルナンデス氏に、日本での戦略を中心に聞いた。

── なぜここまで時間を掛けて、日本市場を重視するのか。

就航前に中部空港で開かれた式典に出席するフェルナンデスCEOと楽天の三木谷会長兼社長=17年10月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

フェルナンデスCEO:母親が日本語を話せたり、日本のことが大好きだったり、自分の人生の中で日本は常に存在し続けた。ソニー(6758)やサンヨー(現パナソニック)などの製品も、日本のものだ。

 一番重要なことは、日本市場で失敗したこと。諦めて逃げるか、失敗を成功に変えるかだが、再び挑戦し、同じミスをしないよう、2番目の選択肢を選んだ。大変な戦いだったが、社員ががんばってくれた。時間を掛けて戦えば、より価値のあるものになる。大変だった分、(中部-札幌線は)特別な路線になった。

 この路線は友情でできたフライトだ。ミッキー(楽天の三木谷浩史会長兼社長)をはじめ、ビジネスパートナーも大変だったし、彼らをがっかりさせたくなかった。普通であればビジネスとしてのロスでしかないが、そういう意味でも難しかった。

新千歳に就航したエアアジア・ジャパン=17年10月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── エアアジア・ジャパンを成功させる上で、グループの本拠地であるクアラルンプールと中部を結ぶエアアジアXの路線を、復活させる考えはあるか。

フェルナンデスCEO:とても重要だ。ホームタウン(であるクアラルンプール)から、(エアアジア・ジャパンの)ハブへ飛ばすのは当然。みんなをプッシュして、ぜひ実現させたい。

── エアアジア・ジャパンの次の路線は台北なのか、日本国内の都市になるのか。

フェルナンデスCEO:福岡や沖縄も考えている。これまではライセンスを取得することに集中していたが、これからは将来性を考えたい。

中部空港でエアアジア・ジャパンの再就航初便の乗客を出迎えるエアアジアの客室乗務員=17年10月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── パイロット不足が業界全体の課題だが、どのように対応していくのか。

フェルナンデスCEO:エアアジアが就航した16年前もそうだった。大切なことは、パイロットを育てること。成功するためには、他社から連れてくることではない。

 実は今回のプロモーションで来日した客室乗務員の中にも、パイロットになりたい人たちがいる。魅力的な会社にして、入ってきた人たちをパイロットとして育てればよい。

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