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ANA、羽田発伊丹行きに与圧トラブルか 伊豆半島で引き返し緊急着陸

 8月12日午後6時30分ごろ、全日本空輸(ANA/NH)の羽田発伊丹行きNH37便(ボーイング777-200型機、登録番号JA703A)が羽田を離陸直後、伊豆半島付近で与圧系統に不具合が起きた可能性があると計器表示が出たことから、機長の判断により羽田へ引き返し、緊急着陸した。乗客262人(幼児4人含む)と乗員11人(パイロット2人、客室乗務員9人)に、けがはなかった。

ANAの777-200国内線仕様機(同型機)=16年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 NH37便は羽田を午後6時6分に出発し、同24分に離陸したところ、コックピット内の計器に、機内の気圧を保つ与圧系統の不具合が発生した可能性があるとの表示が出たことから、航空管制上の優先権を得て羽田へ午後6時51分に緊急着陸し、午後7時10分に戻った。

 ANAによると、機内で煙や火は確認されていないが、機長の操作により酸素マスクを落下させた。機内では「与圧システムの不具合につき、羽田に引き返す」旨のアナウンスを行ったという。羽田へ到着後、乗客はANAの別便や新幹線、明日の便に振り替えた。

 原因は調査中で、国土交通省航空局(JCAB)が航空事故につながりかねない「重大インシデント」に該当するかなどを調べている。

 当該機は777-200の国内線仕様機で、座席数は2クラス405席(プレミアムクラス21席、普通席384席)。この機材による運航便は、12日は計5便を予定しており、NH37便は最後の便だった。

 12日の運航は、羽田午前8時17分(定刻同5分)発の高知行きNH561便からスタート。折り返しの高知発羽田行きNH564便、羽田発福岡行きNH253便、福岡発羽田行きNH258便を運航後、5便目となるNH37便に投入された。

 12日は、乗客乗員520人が亡くなった日本航空123便墜落事故の発生から32年。三十三回忌にあたるこの日は、過去3番目に多い97家族359人の遺族が墜落現場となった群馬県多野郡上野村の御巣鷹山を訪れた。午後6時からは、上野村にある慰霊の園で追悼慰霊式が開かれた。

 また、ANAでは昨年の8月12日朝には、羽田発便で受託手荷物を積まずに出発するトラブルが発生。荷物をまったく積まなかった便が16便、一部未搭載が12便発生し、積まなかった受託手荷物は、ANAの運航便だけで2000個強にのぼった。

8月12日のJA703A運航状況
1便目 NH561 羽田(定刻08:05/実績08:17)→高知(定刻09:30/実績09:33)
2便目 NH564 高知(定刻10:15/実績10:27)→羽田(定刻11:35/実績11:41)
3便目 NH253 羽田(定刻12:35/実績12:37)→福岡(定刻14:25/実績14:18)
4便目 NH258 福岡(定刻15:10/実績15:13)→羽田(定刻16:55/実績16:53)
5便目 NH37 羽田(定刻18:00/実績18:06)→伊丹(定刻19:10/実績羽田19:10)

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全日本空輸 [1]

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